サ○エさんが終わって、キッチンでタバコを吸っていた俺は、

改めて部屋の広さを見て驚く。




――『一人だと確かに広いよね(汗)』


流し台で弁当箱を洗っている沙和が、洗剤の泡をつけた手を動かして言う。



――『一人は広すぎだよな』

――『うん…たまに寂しくなるよ。モカとココアがいるから、ギリギリ平気だけど』

――『でも一人で危なくないか?なんかあったらどーすんだよ』


火事とか地震とか…

知らない男が、宅急便の配達員装って入って来たり……


やべえ。

すげえ心配になってきた…





――『平気だよ。うちセコム入ってるし!あとは全部モカとココアが教えてくれるから』

――『モカとココアが?』

――『そう。インターフォンが鳴ったら、モカたちが教えてくれるの。地震なんてね…くる前にわかるんだよ?動物ってすごいよね!』

「へー」


それは確かにすごいな。




――『だからモカとココアにはすごく感謝してるの。もういない生活なんて考えられないよ』

――『そっか』

――『まぁ…確かに不便はたくさんあるけどねー。私じゃべれないから、ひとりで外食はできないし…あと電話とかもできないし…」




沙和が小さく笑う。




――『電話できないからさー…ずっとひとりでは出前取れなかったんだけど・・最近は携帯とかパソコンで出前できるから、私ができる範囲が広がって嬉しいんだー』

――『そっか…』


嬉しそうに笑う沙和。

俺はキッチンの上の棚に片手を置いて、そんな沙和を見つめていた…