ドキドキと、鼓動は早いまま。

何とか息を吐き出すが、上手く呼吸は出来ない。


「だが、再会したお前の目は濁ってなどいなかった。それに気付いたときから俺はお前に心奪われていたんだろう」

そう言って優しく微笑まれては尚更鼓動はおさまらない。


「それなのにずっと気付かないふりをして、お前を酷い目に合わせてしまった……。本当にすまない」

今度は目を閉じ悲しい表情。

胸がキュウッとなり、キサラは自分まで悲しい気持ちになってしまう。


(抱き締めたい)

ふとそんな思いが芽生え、そんな事を考えてしまう自分に戸惑った。