あーあ。
秀、今日は遅いなー。

いつもなら7時には来るのに。


「優羽ちゃん!」

突然、後ろから佐口くんに
呼ばれた。

あたしがゆっくりと振り返ると
佐口くんは

「こんな時間まで何やってんの?」

「秀待ってるんだ。」

と答えると、

「そんなに松谷くんが好き?」

佐口くんは少し寂しそうに
ふっと笑った。


「そんなんじゃ、ないけど。」


「じゃあ、僕と帰ろうよ?」


「いや、でも、秀に待ってるって
言っちゃったから。」

と言うと佐口くんは
隣にあった机を思いっきり
蹴り飛ばした。