ふと。横を見ると同い年ぐらいの女の子が座っていた。






入りたての私は
まだ部員の顔を覚えていなかったため、





まったく何年なのか、誰なのかわからない。











その子は輝いた目で練習する先輩達を見つめていた。



私は、汗臭いTシャツで顔を拭いて、
ぼーっと見つめているだけだった。













8月の暑さのため頭がクラクラする。










隣の子は
顔に汗一つかいてなかった。








その子がふと呟いた。








「・・・いいな。」













かすれてて、細く、ゆるい声で。










「どうして、休憩してるんですか?」
勇気をだし、しゃべってみた。







「・・・私。病気なの。足がわるくて・・・走れないんだ。」



「・・・・・・・」






その子はよわよわしく言った。






「だから、あなたみたいに走れるのが、バスケをできるのが羨ましくって。」























「ぁ。ごめんね。頑張ってるのに、私のつまらない話なんかして・・・」




その子は悲しそうに無理に笑ってこっちを向いた。






「全然・・・私なんかどこも悪くないのに全然できなくて。」




「怒られっぱなしだし。」








私は恥ずかし笑いをして
その子を見た。