「河西、お前もうちょっとおとなしく生活できないのか?」

「…は、はあ」
怒った顔と悲しそうな顔で先生はあたしに話す。

「…お前まだ高1だぞ?…恥をしれ、恥を」
うぬ。正論です。先生。
「…ってことでだ。先生はお前につきっきりで面倒見るわけにもいかないし、代わりにお前の面倒を見てもらうことになった」

「は、はあ!?」
ちょっと待った。
大体理解ができた。つまり…

「黒山 凌くんにお前の見張りをやってもらう」
「え゛ぇぇえー!?」
無理無理無理無理無理。男の子なんて!確かに彼氏がいたときはそれなりに話せたけど1ヶ月で別れたし。だから正直男子なんて無理だし。

しかも…いかにも真面目ですってかんじの眼鏡。黒で整えてある髪、着崩しなんてせず新品みたいな制服。

…真面目にも程がある。


「ってことでよろしく頼むよ。」
ぽんっと黒山さんの肩に手を置いて席を立つ先生。

「え、あ!ちょ…」

そのまま教室を出て行ってしまった。

…なんて強引なー…

「…はぁーってことで俺がお前のお世話係になったから。」



…ん!?


誰から発せられたのか周りを見るが私たち2人しかいない。
前を見るとさっきまで真面目に座っていた黒山さんが眼鏡を外して机の上に座っていた。

「…あ、あれ?黒山…さん?」

さっきまで真面目くん。今、情報入手不可能。

「あー…うん。黒山さんです。名前何だっけ。愛美?……あー…俺のことは気にしないで」

「え?気にしないでと言われましても…」

なぜか敬語で話してしまう。

「…ってか、あんた今回の落書きやってないでしょ?」
…え?




今やってないって言った…?
「……なんで知ってるんですか?」

「いやだってさーおかしいじゃんどう考えたって。トイレ周りには真面目ちゃんばっかだったし、愛美は屋上にいたし」
確かに私はそのとき屋上にいた…

「って!なんでしってるの!?」
やばっ…タメ口になっちゃった…!
はっとなり手で口を押さえる。