「愛美ー!今日カラオケ行かない?」
前の席に座っているみいが声をかけてくる。

「あー…ごめん。あたし先公に呼び出されてるんだわ」
半笑いでみいに返す。
確かに呼び出されてるけど、正直行きたくない。
「そうなの?ドンマイ!!あはははじゃあ今度埋め合わせしてよ?」

「りょーかい!」
みいはわかってくれたらしく笑って教室を出て行った。
その姿に軽く手を降る。


「…はぁ…」
ため息が口から漏れる。
私は、別に今がイヤではない。友達はいっぱいいるし、私を好きって言ってくれる人もいる。今の格好もイヤではない。
昔から雑誌などをみて憧れていたメイクや髪型、服。不満なんかない。

…でもなにか違う。
最近のあたしはそう考えるようになった。
昔は、友達や彼氏ができて嬉しかった。ただ今がひたすら楽しい思いでいっぱいだった。

でもなにか本当の大切なものがぽっかり抜けているような気がしてならなかった。



私、河西愛美は、自分で言うのもなんだが、不真面目女だ。