『姫乃みたいな花がいい。』
そう言ってほほ笑んでくれた薫―――
『トゲは、壁なんだ。バラは自分の周りに壁を作ってる。自分の身を護ってるんだ。』
『人で言えば、強がってんじゃないかな。本当は、弱いから。』
『だから』
姫乃に似てるんだよ―――
薫が私はバラに似ていると言った。
今でも、確かにそうだと思う。
でも、強がりで何がいけない?
周りに壁を作ることはいけないことなのか?
自分で自分を護ることがそんなにもいけないことなのか?
『確かに。最初はめちゃくちゃ痛かった。でも、どうしても姫乃を壁に囲まれてる中から出してやりたかった。代わりに俺が姫乃を護ろうと思ってさ。』
『俺が護る』
そう言っていたあなたは、もう隣にいないじゃないかっ!
『バラか・・・。描いてみるよ。』
あなたは、私を最後まで護ってくれなかったじゃないかっ!!
この絵を見ていると、辛い・・・苦しい・・・怖い。
だから、他の絵と同じように破り捨てたい。
それなのに・・・
「どうして破れないのっ・・・」
どうしても、自分の手が動かなかった―――
体は・・・正直なのだ―――