そう言って教室から出て行った凛々香。


凛々香の言葉一つ一つが私の心を壊していった。




あぁ、早く校門へ行かなければ。

シロと柏木が待っている。


教科書とノートを一冊ずつ鞄の中へ入れていく。

一冊一冊、そして、手に取ったのは英語のノート。



『薫さんに貸したままだったから。』


いつもなら私が貸していたのに。

薫は授業中は寝てばっかりだからな。


毎日の執事の仕事が大変だから仕方ないのだが。

そして、先生に怒られる。


そんな薫を見ていると自然に笑顔になった。


けど今は、そんな薫を想像すると・・・悲しくなる。



手に持っていた英語のノートをカバンの中に入れた。

机の中は空っぽになった。


最後に筆箱を鞄へ入れようと思い持ち上げた。


その時、小さな紙切れがヒラヒラと床に落ちた。


「紙・・・」


そこに書かれていたのは、たった一言だけ。


差出人は書かれていなかったが、私にはすぐにわかった。





『　姫乃　　探してやれなくてごめん　』






その言葉が私の心をまた苦しめた。



その紙を胸に当て、一滴だけ涙を流した。




ここで泣いている場合ではない。

早く校門へ向かおう。


そして私は、鞄を持ち校門へ急いだ。