『明日からは、俺は姫乃の執事じゃないし・・・彼氏でもない』


『執事も彼氏も今日までなんだ』


『俺は姫乃のこと好きだから。ずっと、ずっと』

『じゃぁな。・・・姫乃、お嬢様』





『俺、姫乃のことすっげぇ愛してるから』





「現実を、受け止めろよ!」


泣いている私の背中の方から声がする。

その声は、シロだ。

でも、今はシロの方へ向きたくなかった。



シロを見ると、これが現実だと認めなくてはならない。
そんなの、嫌だっ。


「逃げてんなよ!ちゃんと、前に進めよ!」

「キミに何がわかる!大切な人が、傍からいなくなった悲しみ、キミになどわからないだろ!」


こんなにも苦しい気持ち、誰にも分かるはずなどない。

こんなにも、人を愛することが辛いことなど・・・


「わからないよ。けど、薫さんも言ってたじゃないですか。一人じゃないって。」


『姫乃は一人じゃない』



薫はそんなこと・・・。


「聞いてなかったんですか?」

「・・・・・・」


「聞いてたんですよね。」

「っ・・・」

「なら、わかってるんじゃないですか?受け止めましょうよ、現実を。」


「私はっ・・・」



「はい」


「・・・っ薫がいないと、だめなのっ」


薫、かおる、かおるっ。