『俺、別に姫乃のことを嫌いになったわけじゃねぇから。』

『そんなこと、わかっている。私も薫のことは』


『だから。今はだめなんだ。』

『・・・何がダメなのだ』




『だめなんだ。今は、姫乃の傍にいてやれない。』
『どういうことだ!そんな、急に決めてっ』


―――あれ?


これは?―――



『ごめん。勝手に決めたのは謝るけど、今はこうするしかないんだ。わかってくれよ。』
『わからない!そんな、薫の勝手な気持ちなどわからない!』

『姫乃、頼むから。俺のこと嫌いにならないでくれ・・・』


『嫌いになどならないから!だからっ、行かないでよ!』






『・・・ごめん。俺、行くな。ごめん、姫乃』



『薫!かおる!っかおる~!』

『元気でな』


―――なんで?


また、離れていくのか?この夢の中でも?

また、私は―――






「いやだっ!」

「お嬢様!」


「薫っ、嫌だ!帰ってきてよぉ・・・っ」



「お嬢様っ!」

「えっ・・・」


「大丈夫ですか?うなされていましたが。」


やっと、目が覚めた。そこは、私のベッドの上。


そして、目の前にいたのは―――