本当に、薫はすごい。
私に癒しや安心感を与えてくれる。
だから、余計に薫のことを好きになってしまうのだ。
今でも、好きという言葉では言い切れないほどに、大好きなのだ。
薫―――
薫は私のことを
どれくらい好きでいてくれましたか?―――
「お嬢様」
「な、なんだ!?」
「お嬢様、何をお考えになられていたんですか?」
「キミには関係ないだろう。」
「さようでございますか。」
私が過去を振り返っている間にまたあの男が私の目の前に現れた。
「お嬢様、そろそろお休みになられてはいかがですか?」
「・・・キミは本当に私の執事なのか?」
「はい。本日からお嬢様の執事です。」
「もう一度聞いておくが、名前は本当にないのか。」
「いえ、今はあります」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・?
「今は、ある?」
「はい。お嬢様は私に名前をくださったではないですか。」
「いつだ!私がいつ、キミに名を付けたというのだ。」
「先程です。」
先程。
さきほど。
確か、アレを・・・シロを見つけてほしいと頼んで・・・。
あ、シロという名前で・・・!?
「もしかしてっ!?」
目の前には、一人の白いタキシードを着た男、ではなく白い毛皮を身にまとった一匹の柴犬がいた。