そして気が付けば、二人の気持ちは繋がっていた。


なんと、強引なことだろうか。



一日のうちにいろいろなことが起こりすぎたのだ。

なぜ、私はあんなにも必死にナニカと戦ったのだろうか。



なぜ、私はあんなにも必死にナニカを薫に伝えようとしたのか。

初めてまともな会話を交わしたその日に。



もっと時間をかけてもよかっただろう。

もっと、薫のことを知ってからでもよかっただろう。


けど、今少し思うこと。



きっと、あの時の私には薫が必要だったのだ。

孤独から、悲しみから、強がりという壁から逃れたかった。


そのためには、きっと誰かの温もりが必要だった。

その温もりが薫だった。



本来なら、父さまや母さまの温もりなのだ。


でもそれは、なかなか叶えられそうにない私の夢だ。

きっといつかは父さまも母さまも私のことを抱きしめてくれる日が来るだろう。


しかし、いつか、ではだめなのだ。



あの時の私はすでに壊れかけていた。


そんなとき、薫は私にそっと寄り添ってくれた。

私の心の傷に気付いてくれた。

そして、その傷を癒してくれた。

私の中の壁を取りはらってくれた。

そして、私に光をくれた。




そんな薫をあの時の私は、好きにならない理由がなかった。


こんな感じで付き合ってもよいのだろうか、そう思ったのも事実。

でも、傍にいたいと思ったことも事実。


色々な不安もありながら、それでもやっぱり伝えたかった。


どうしても、どうしても。


あの時の私は、恋を知ったばかりの女の子だった。