「は?」

「ご自分の気持ちに正直になった方がいい」


「キミ、私に喧嘩でも売っているのか?」

「いいえ。そんなことないです」


「なら、そんな口のきき方を私にするな!」


「何がいけないんだ」


まっすぐに私を見つめるその瞳は、私に何かを訴えている。

けど、その何かが、わからない。
わかるのが、なぜか怖かった。


「なんで、こうやって普通に話しちゃダメなわけ?」


「わ、私は、鬼城家の一人娘だぞ!君は自分の身を」
「そんなこと関係ないだろ。」
「なっ」


「人は、人だ。植物は植物、動物は動物、人間は人間。みんな生き物だろ。」

「何が言いたい」




「偉いもくそもねぇってことかな」




この男の言っていることが今いちよくわからなかった。

ただ、私を見つめるその瞳は力強く、私にあることを伝えようとしていた。
けど、本当はそんなことわかっていることなのだ。


男の言っていること、そんなことわかっている。
でも、認めたくない。
受け止めたくないのだ。今までそうしてきたのだから。


「もうそれ以上何も言うな!」


「自分の周りに壁を作って何になる」

「やめろ!」

「自分の身分を盾にしてどうする」

「うるさい!」

「そんなに強がってどうなる」

「やめてっ」

「認めろよ」

「嫌だっ」

「わかってるんだろ」

「知らない!わからないっ・・・っもうしゃべるな!」


その先を、言わないでっ・・・