『キャンッ!』
「シロ!」
足元にはあの小さくて白くて、フワフワしたかわいい生き物がいた。
「帰ってきたのか。どこに行っていたのだ。シロまでいなくなったのかと思ったぞ・・・」
『キュゥ~ン』
「薫は、戻ってこないと言っていたからな・・・。シロは、いなくなるのではないぞ?」
『キャンッキャンッ』
「そうか、そうか。一緒にいてくれるのか?」
『キャンッ!」
まるで、私の質問に答えるかのようにかわいい鳴き声を聞かせてくれるシロ。
「名前は、シロでよいか?」
『ッキャン!』
「それはよかった。今日から・・・よろしく頼んだぞ。薫の代わりに・・・私を少しでも癒してくれ?」
『キャンッッ』
薫、私はきっとしばらくはまだ薫のことを吹っ切ることはできそうにない。
吹っ切ろうなど、そんなこと真面目になど考えていないわけだ。
なぜなら、明日の学校でまた会えるだろう?
そして、また一からやり直すのだ。
恋人から。執事は二の次だ。
私は、ただ薫の傍にいたい。
それが、私の幸せだから。
だから、私はまた、再挑戦する。
薫。
また、「喜んで付き合います」と言ってくれるか?
あの日のように―――
私たちの気持ちが繋がった時のように―――
1年前の、7月7日―――私の誕生日の日―――