カチャッ―
そこは静かな本の空間。今日は何を読もうか。
「昨日この棚の本は読み切ってしまったからな・・・。今日は」
「こちらなどいかがでしょうか。」
「おぉ!新刊ではないか。ならばこれを読まずにはいられ・・・。最悪だ。」
「何がサイアク、なのですか?お嬢様。」
確かに私の好きなケータイ小説の新刊があったことはこの上なく嬉しいことなのだ。
だが・・・
「それにしてもお嬢様、この図書館はすばらしいですね。お嬢様の為だけに作られた図書館と言うだけのことはございますね。」
「当り前だ。この図書館は別名ヒメノライブラリーという名前が付けられているくらいだからな。」
「そうでございますね。ですが、その話は今はひとまず置いておきまして」
「なに!?君は私の図書館などどうでもよいと言うのか!?」
「いえ、そうではなく。ただ、時間がございませんので。」
・・・?時間?・・・!?
「それを早く言わんのか!私が学園に遅れたらどうするのだ!」
「ちょ、お前な!!」
「話し方には注意しろと言っているだろう!」
「っ!す、すみません。とにかく、すぐにご朝食を」
「あぁ。すぐに食堂に向かう。」
「読まれる本はこちらでよろしいのですか?」
「あぁ、それでよい。持って来てくれるか。鞄の中に入れておいてくれ。」
「かしこまりました。」
そして私は、彼を残して先に食堂へ向かった。