この執事らしき彼氏は、何か企んでいるな。
きっとそうだろう。
そうでなければここまで、甘い言葉をかけてくることはめったにないのだからな。
朝のあの女の事件から(私の中ではある意味で事件だ)おかしい。
いつもなら、あんな女よりも私を優先するはずなのだ。
執事である前に、私の、彼氏なのだからな。
しかし。
薫はあの女と・・・で、デートに行ったらしいではないか。
それはどういうことだ?
今、こうやってキスをしているのは今日の自分の罪滅ぼしなのか?
『姫乃にも気はあるってことをとりあえずは表現しないと』とでも思っているのか?
『まぁ、凛々香の方が可愛くて好きだけど』とでも思っているのか!?
「ひめの!」
「は!?」
「・・・いや、は!?じゃなくてさ。ボーッとしてたけど大丈夫か?」
いかん。考え事をしすぎて薫が目の前にいることを忘れていた。
「あ、もしかして!」
な、何を急に言い出すのだ!?
も、もしかして、私の心の中が見えたのか!??
「俺のキスに満足しすぎて、変なこと考えてたんですか~?」
「・・・・・・」
「・・・?」
誰か~。この人、連れて行ってください。
「姫乃?」
「ちっっがぁう!!」
「そんな、照れなくても」
「照れてなどいるか!」