その場に座り込んでいる香織を見ていると、体調が悪いとしか思えなかった。

「うそだろう、そんな状態。どうしたのだ?」


「いいですから。お嬢様は、早くここから出て行って、ください。」

「なぜだ、香織をほおってここから出ていくわけには」
「今、何か、探している、途中なのでは?」

「そ、れは・・・」


そっと立ち上がり、部屋から出て行こうとする香織。

その歩き方もフラフラしていて今にも倒れそうだった。


「香織!」


「ふぅ。はい、これで大丈夫です。お嬢様、見つかりました。探し物が。」
「え?」


「ですから、僕は帰ります。」
「ちょっとま」
「姫乃ー!」

その時、遠くから薫の声が聞こえた。

「姫乃お嬢様のことを探しておられる方もいます。薫さんが探しているのはシロだけではないようですよ?」

「薫・・・」

「さぁ、出ましょう。ね?」

「あぁ・・・」



そして、私と香織は倉庫を出た。

廊下を一緒に歩く。
でも、一向に香織の足取りはフラついている。

「大丈夫か?香織。」


「はい。あ、お嬢様、あれ!」

「あれ?」



そこには何も無かった。

ただ、庭に花が植えられているだけ。
それが、なんなのだ?と思い、香織の方を向くと、そこに香織の姿はなかった。


「香織!?」


後ろを見ても、前を見ても香織の姿はなかった。

「姫乃っ!」

私の向かい側から、薫が私の名前を呼んでこちらへ走ってくるのが見えた。
「薫!」

「どこにいたんだよ、姫乃。部屋にいろって言ったろ。」

「今、ここに香織がいたんだ!犬正香織が!」
「香織さんが?」


でも、やはり香織の姿はなかった。