勢いよく顔を上げると「ウソだよっ」と笑いながら言う薫がいた。
「薫なんか嫌いだっ」
「え。俺嫌われた?うわー・・・ショック。絶対向こうで孤独死だな・・・。」
「あ、え、ごめん。嫌いじゃないから、死なないで?」
「あははっ。はいはい。わがままでこんなに可愛いお嬢様を一人にして死んだりしませんっ。」
私の彼氏は、本当に・・・どこまで私をあなたの虜にするんですか?
「このままちゃんと隣にいてくれよ?」
「当たり前だ。ここ以外に私の居場所はないのだから・・・。」
「・・・やっぱちょっと襲うか。」
「ばかぁっ」
「可愛いな、姫乃。お休み、姫乃。」
「・・・おやすみ!」
頭上には「ふふっ」と笑っている薫がいる。
薫が、こんなにも近くにいる。
でも、きっと薫はすごく我慢してくれているのだと思う。
隣にいるのに、ただ寝るだけなんて。
なんだか、申し訳なくて・・・。
ごめん、薫。
また、次回―――
明日は、何時に起きようか。
どの洋服を着ようか。
髪型は自分で、いや、薫にしてもらおうか。
そんなことを考えながら徐々にウトウトと睡魔に襲われる。
そして、明日のことを楽しみに眠りについた。