しかも、今度は私の名前で。
「お嬢様?」
なんなのだ?
この人間は本当に薫なのか?
私にこんなにも甘い言葉をかけるのは本当に・・・
「薫、なのか?」
「はい?あ、あの、お嬢様、顔が近くて・・・」
そうだろうな。
どこからどう見ても、薫だ。
私の執事兼彼氏の薫である。
ならばよいか。
・・・・・・ん?
顔、が、近い?
「・・・!?」
しまった!
深く考えすぎて、自分の行動に気が付いていなかった。
「私は部屋に戻るからな!今度こそな!」
「では、お荷物の方を」
「よい!今日は自分で持ってあがる。」
薫の顔を見て話すことができない。
そそくさと自分の手荷物を持って部屋へと急ぐ。
さすがに、先程の顔の近さには私自身も驚いた。
部屋へ入ってからも私の胸のドキドキは止まらなかった。
クローゼットを開け、服を選び着替える。
今日はシャーベットピンクのワンピースにした。
ちなみに私のお気に入りの中のお気に入りだ。