それは、ある日のいつも通りの朝。


その話は突然持ちかけられてきた。


「薫さん」

「あ、真紀子さま。」


「少しだけ、話があるの。今、いいかしら?」

「えぇ。あ、ですが7時にはお嬢様を起こしに行かないとなりませんので・・・」


「それは大丈夫よ。それまでには話は終わるわ。」



そして、真紀子さまと一緒に向かった場所。

そこはある部屋だった。


「ここは・・・」


「緋絽の部屋よ。緋絽が薫さんをここへ連れてくるようにって。」

「緋絽さまが!?」

「大丈夫よ。さぁ、どうぞっ。」


真紀子さまはそう言われると、目の前にある扉を開けてくださった。

本来なら開けるのは僕なのに。


「失礼します。」

「あぁ、薫くん。」


「おはようございます、緋絽さま。」


「そんな、緋絽さまなんてやめてくれ。」

「ですが」

「普通にしてくれないか?もっと、普通に、な。」


笑顔でそう言ってくださる緋絽さまに「はい」ということしかできなかった。



「で、薫くんに話があるのだ。」

「はい。」


「姫乃のことなんだけど。」

「お嬢様の?」


「薫くんは、姫乃のことが好きか?」


そのことをストレートに言われるとは思ってもいなかった。

しかも、図星であって・・・。


「・・・申し訳ありません。」