その後の授業も順調に進んで行き、気がつけば放課後の時間になっていた。
朝は、どうなることかと思っていたが今日も一日無事に済み・・・!
いや、まだだ。
まだ、無事に済んだとは言えない!
家に戻ると・・・何が待っているのか恐ろしい。
しかし、このまま家に戻らないとなると更に恐ろしいことになりそうだ。
今日は諦めるほかなさそうだ。
そして、私は一人で柏木の待つ車へ足を運んだ。
いつもなら隣には薫がいるのだが、今日はなぜか見当たらない。
6限目の終わりには確かにいたのだが。
「いったいどこに行ったのだ、あの執事は。」
「お嬢様。」
「・・・おぉ。柏木。どうした、今日は車の中で待機していないのだな。」
「はい。それが、さきほど薫さまがいらっしゃいまして。」
「先に来ていたのか?!」
「あ、お嬢様。それが薫さまはこれからデート、がございますゆえに先にお帰り下さいと申しておられましたが。」
なるほどな。そういうことだったのか。
だから捜しても見つからなかったのだな。
そうか、デートに・・・って!
「デートだと!?」
「はい。なにやら、今朝お誘いをお受けしたそうで。」
「・・・そうか。」
「はい。ではお嬢様帰りま」
「私よりもあの女なのだな・・・」
「しょ・・・?お嬢様?」
「いや、なんでもない。ただの独り言だ。帰ろう、柏木。」