目の前には元気そうなシロ。

白くてふわふわな毛は、シロの呼吸と共にワサワサと揺れる。


「シロ、今日はな。薫と久しぶりにたくさん話したのだぞ?と言っても、数秒間だけの会話だがな。」


『クゥン』

「薫は何も変わっていなかったぞ?・・・優しかった。」


『クンッ』



「薫はっ、私に振り向いてくれるだろうか。ははっ・・・だめだな」


私の目には涙がたまっていた。
でも、流さない。

流してはいけない。



そう思ったのに・・・


「頑張ろうと決めたのにっ・・・」


その時、シロが私の膝の上に乗り、私の顔を舐めはじめた。

それは、まるで私に『泣くな』と言ってくれているように。
私の目から零れ落ちていく涙を、シロがすぐに舐めてくれた。


「ありがとうっ。シロ」


『キャンッ』


シロ、私は頑張るよ。
こんなところで、泣いていてはだめだな。


「シロ。私は絶対諦めないからな。応援してくれ。」


シロはそれにこたえるように『キャンッキャンッ!』と言ってくれた。



そして私はその部屋を後にした。

自分の部屋へ向かうと、あるものに気が付いた。



それは、私の机の上に置かれた手紙。

その手紙を書いてくれたのは『香織』だった。

「香織・・・」



その手紙を読むと、そこには香織の私へ対しての思いが書かれていた。