それでも、今はそんなこと薫には言えない。


いつかまた薫と一緒に過ごせる時間を楽しみにしてる。
だから、その時に思いっきり言ってやるのだ。

『もう寂しい思いをさせないでくれ』

と、思いっきり嘆いてやるのだ。



私は、卑怯なのかもしれないな。






校門へ向かう途中、あの人にあ会った。


「あ、姫乃さん。」

「凛々香。」


「なんだか、元気になったみたいね?」

「そう?いつも通りだよ。」

「そっか。あ、薫知らない?」



凛々香の口から出た『薫』

やはり、少し心が痛む。
それでも私は、頑張ると決めたのだから。

香織にも言われたのだから。


「薫なら、まだ教室にいたと思う。」

「そう、ありがとう。じゃぁまたね。」
「またね。」


そして、車に乗り込む。
学園を離れようとしたとき、あの二人の姿が目に飛び込んできた。


仲良く二人並んで歩いている薫と凛々香。

今は、今だけは、我慢する。
泣くことも、薫のまま絵を呼ぶことも。


唇をかんで一生懸命涙を抑える私。
これでいい。
まだ、泣かない。


泣いたら、負けを認めてしまいそうだから。


家について、私はある部屋へ向かう。



「・・・シロ?」


『キャンッ!』


「シロ~。元気にしていたか?」

『ハァハァッ』