カーテンの間から太陽の光が差し込んでくる。
ここは、私のベッドの上。
ということは、香織は行ってしまったのだろう。
あの時、意識が消える前に香織が言っていたこと。
あれはおそらく、別れの言葉だ。
ならばもう、この家に香織はいないだろう、
時計の針は12と7を指していた、
「7時か。今日は目覚めがすっきりしているな・・・。」
ベッドから降り、一階へ向かう。
今の私は一人だ。
執事はいない。
でも不思議と寂しい、悲しいという気持ちにはならなかった。
食堂へ向かう途中、私の目にあるものが止まった。
それは、扉。
その扉の奥には、シロのハウスがある、
そういえば最近、シロを見ていない。
ずっと柏木に任せたきりだった。
元気にしているだろうか。
そう思い、食堂へ行く前にシロの様子を見ることにした。
扉を開けると、そこには気持ちよさそうに寝ているシロがいた。
「シロ」
そっと呼びかけても起きる気配はない。
よく見ると、前足がぴくぴく動いている。
何か夢でも見ているのだろうか。
「姫乃お嬢様。」
「おぉ、柏木。」
「シロのご様子を見に来られたのですか。」
「あぁ。柏木、シロのことを任せたままにして悪かったな。」
「いえ、お嬢様は何かと忙しそうにしておいででしたので。」
「ありがとう」