すると今度は、私の体が自然と香織のいるであろう方向へ向かい始めた。

意思とは反対に、あることを聞きたかったのだ。
それは・・・


「香織・・・」


「っ!?お嬢様っ」

「今、誰と話しているのだ。」


「それは・・・」




「かおる、とは・・・誰のことなのだ?」


私の言葉を聞いて、一気に香織の顔が引きつったのがわかった。
それでも、私の質問は止まらない。


「その電話の相手に、なぜ私のことを話す?なぜ、私の心には鍵がしてあるなどという?香織はなぜ私のことをそう思うのだ?」


「待ってくださいお嬢様!」

「誰なのだ!かおる、かおるとはっ」


その時、視界が揺れて私は・・・気を失った。





目が覚めるとそこはベッドの上だった。

ということは、私の部屋。


時計を見ると12時を指していた。
今は、夜中なのか?それとも、昼間?


そっと体を起こし、昨日のことを思い出す。


確か、私はお風呂に行き入ろうとしたとき香織の声が聞こえて・・・!


「か、お、る。」


「あ、目が覚めたか?姫乃。」

「香織。」


「体調はどう?」

「・・・なんだか変な気分だ。」
「今日は一日ゆっくりしろよ?」

「一日?」

「もう今日は学園へ行かないだろ?」


あぁ、そうか。今は昼間ということか。

どうやら昨日の夜、あの時から今までずいぶん長い事寝ていたらしい。