しかし、今日も疲れた。

何気ない一日だが、今日に限ってはいろいろなことが起こりすぎたような気がする。



あの女が急に話しかけてきた、そして絵筆を忘れる。

教室に取りに戻ると、あの人があの女を慰め終わった後だった。

家に戻り、香織と付き合うことになった。



一日のうちにこんなにもたくさんの出来事があったのか。

本当に忙しい一日だったな。



体も疲れているようだし、今日はこのまま寝ようかとも考えた。
しかし、大忙しの一日の終わりに汗をかいた体を洗わないというのは・・・。



「仕方ないがお風呂に行こうか。」



疲れきって重い体を何とかお風呂まで向かわせた。



こういう時はこの広い家が少し憎く感じる。



お風呂へ入ろうとしたとき、声が聞こえてきた。
それはどうやら男の人の声で、香織の声だと分かった。


誰かと、電話をしているようだった。


『はい・・・。大丈夫ですか?・・・えぇ。でも』



その時聞こえてきた言葉で、私の体が固まった。

それは―――




『でも、かおるさんこそ無理しているのではないですか。』



かお、る?


香織がかおるという人に電話をしているらしい。

でも、なぜだろう。
この先を聞いてはいけないような気がした。



それでも、私の体は動かないままだ。
しかし、耳だけは香織の言葉をちゃんと聞いていた。




『姫乃お嬢様は、今でもかおるさんのことが好きなんだと思います。でも、お嬢様は心に鍵をしてしまっているようで・・・』


なにを、言っているのだ?