そして、香織が私にしたお願い。
それは、どこか、懐かしいような気がした。
けど、どこか、違うような気もした。
「僕と付き合っていただけますか?」
「・・・え?」
「僕が、この家に執事として入った理由はお嬢様に一目ぼれをしたからです。」
ちょ、ちょっと待ってくれ?
「僕は、お嬢様のことが好きです。」
私の心の中で何かが動いたような気がした。
それは、何かわからない。
でも、とても―――
嬉しいと思った。
安心した。
「お嬢様・・・。」
「香織・・・」
私も香織のことが好きだ―――
香織がそっと笑う。
その笑顔―――
そして、私の体をそっと抱き寄せてくれる。
その腕の中の温かさ―――
『好きだ』と耳元で言ってくれる。
その声―――
全てが懐かしいように思えた―――
「これからは、二人の時は敬語ではなくて、普通に話してくれ。」
「いいのですか?」
「あぁ。恋人同士なのだから。」
「あぁ。わかったよ、姫乃。」