「かしこまりました。後程、お持ちいたします。」



夕食を終えて部屋に戻った。
そして、かおるが来るのを待つ間、今日の授業のことを思い出す。


『自分に似たもの』


なんだっただろうか・・・。

確か、前に描いたことがあるような気がする。


しかし、それを思い出せない。
思い出してはいけないような気がする。

思い出そうとすると、心が壊れそうになるのだ。


無理に考えるのはやめよう。

ゆっくり考えて、あと2時間もあればぎりぎり完成できるだろう。



コンコンッ―――


「はい。」

「お菓子をお持ちいたしました。」


そこに、かおるがお菓子を持って来てくれた。

ダージリンティは今日もいい香りをあたりに漂わせている。


「本日は、マカロンでございます。」

「可愛いな。どれが何の味なのだ?」


「ピンクがトマト、黄色はスイートコーン、茶色はごぼうでございます。」

「かおるの一番のおすすめは?」


「そうですね・・・。一番大変でしたが美味しかったのはトマトですね。」

「なぜ、難しかったのだ。」
「水分の問題でございます。」

なるほど、と思いながらそのピンクのトマトのマカロンを口に入れる。

ほどよい甘さと酸味が口の中に広がる。


「おいしいな。」

「それはよかったです。」


それから、かおるとたくさん話をした。


話をしたかったわけではない。
話を聞きたかったわけでもない。


ただ、今私を一人にしてほしくなかったのだ。
心が、そう言っていたのだ。


「お嬢様、そろそろ」