あの日から私は、別人のように変わった、らしい。


学園へはもちろん通っている。

しかし、私でもわかる一つ変わったこと。


それは、私の学校での性格と家出の性格が同じになったということ。


つまり―――


「姫乃ちゃん、次の授業美術だよ~。一緒に行こうよ。」


「別に、キミと一緒に行きたいとは思わない。私は一人でいい。先に行ってくれ。」

「そ、そっか・・・。わかったよ。」



私の周りにある壁はどんどん分厚く、高いものになっていった。

あの人とは全く話さない、あの人のことを見ることもない。


私には、あの人が見えていない。



あの人は、消えてしまったのと同じ。

この前、大ホールに隠したナニカと同じようになくなったのだ。



今は全く辛くもない。悲しくもない。怖くもない。


しかし、それと同じくらい楽しくもなかった。

今となってはそんなことはどうでもいいと思っている。
私に楽しみなど必要ない。



「姫乃さん。」

「・・・っ」


「最近会わなかったわね?元気でいらしたの?」



そんなとき、今までなぜか会わないようにと避けてきた人物が目の前に現れたのだ。

せっかく、何もかも忘れようとしていたというのに・・・?


「姫乃さん?」

「まったく、キミは僕の苦労を無駄にするのか!」
「え・・・?」


そのとき、不思議と怒りが込み上げてきた。

この怒りは、何なのだろうか・・・。
でも、とても苦しい。

この思いをこの女にぶつけないと気が済まない・・・。

「キミにすべてを奪われた者の気持ちなど、わかるわけないだろうな!」


私は、何を言っているのだ?



「ど、どういうこと?私が、姫乃さんのすべてを奪った?」

「私の前に二度と現れるな!」


美術室へ一気に走る。


あんなお嬢様が追いかけてくるはずもなく、私は美術室へ着いた。



なぜ、あんなことを言ったのだろうか・・・。