「ま、松井くん!なんで?どうしたの?」




D組の前まで来て、松井くんは立ち止まった。




「切ない顔しすぎ。」



えっ…………?



「あんたって、わかりやすいね。昔から。」



昔から…?



「ど、どうして?昔からって?松井くんと私、知り合い?」



「そんな不安そうな顔するなって。教科書、わざわざ返しに来てくれてありがとう。またね、ゆいちゃん?」



ゆいちゃん────────?



「待って!松井く……」

 

私が叫んだときには、もう松井くんは去っていた。