ァタシ、うらん。
相川羽蘭。

今日も学校が終わって、バイトに来た。
「相川」って書かれたネームバッヂをエプロンに付けた。
ウチのバイト先のカフェでは、みんなが名前のバッヂを付けるんだ。
だからすぐバイトメンバーの名前をみんな覚える。

「相川、掃除しといて」

バイトのセンパイの遠藤さんが
ァタシに言った。
今日は、店長がいないから、年上の遠藤さんが仕切ってる。

遠藤さんは大学卒業間近で
結構年上。
日焼けしてて茶髪でノリが明るくて誰にでも優しぃ。

掃除めんどくさいなァと思いながら
アタシがモップを取ろうとすると、
遠藤センパイが横から取ってくれた。
モップは高いトコロにあってアタシには取りにくかったの。

「ありがとぅござぃます」
「早く掃除しろよ」

センパイは優しいので人気があるけど
アタシはタイプじゃなくて
なのに優しくしてくるからちょっと困るって
正直思ってた

ゆっくり掃除してたら
バイト仲間の詩織が来て
「センパイと何はなしてたの~?」
なんて言う。

ヤダぁ
誤解しないで
ぁたしはもっと頭良さそうな感じのタイプが好きなんだょ

やがて掃除が終わって
ァタシはセンパイと一緒に洗い場に立っていた。
食器はだいたい食洗機が洗ってくれるんだけど
カップとか細かい部分はバイトが手で洗うんだ。

「センパイがわざわざ食器洗いですかぁ」

「俺もチーフだけどバイトだから。みんなと同じ立場だし」

センパイは偉そうな態度とかなくて、
気さくで話しやすかった。

「相川はさ、彼氏とかいるの?」

突然、聞かれて、ァタシは驚いたけど、

「いません」

冷静さを装って答えた。

センパイはァタシに気があるのかなって
ちょっと思った。

でも、センパイの次の言葉は私の予想とは違っていた。

「そっか。俺は、カノジョいるよ」