「お待たせしました。アニバーサリーデコレーションケーキです。」


運んできたショウコに俺はまたドキっとした。
ダメだ、表情を崩してはいけない。
俺たちはもう友達なんだから。


「それではごゆっくりどうぞ。」

去ったショウコを目で追っていると、アキヒロが不意に、

「ショウコ、なんかキレイになったよな。シュウヘイと付き合ってた頃に比べると感じ変わった。」
「ちょっと!ナニ軽く浮気発言してんのよ!」

アキヒロとマリコの無思慮な会話に、俺がまたも心臓の鼓動を早めていると、

「え?ショウコとシュウヘイって…」

とチエが言い出した。

「え?知らなかった?もう1年くらい前だけどね。」
「そうそう、昔の話だよ。ショウコはもうカレシと同棲中だしね。」

2人は、心配ないといったニュアンスを多分に含んだフォローを入れた。


俺は、チエに余計な心配、というよりも俺の心のうちを読まれないかだけを心配していた。