「まずはケーキっしょ!」


アキヒロの声もどこか遠く聞こえていた。

もちろん2人は俺たちが別れたことは知っている。
でも、それは1年前のことだし、ショウコにはすぐに新しい彼氏もいた。

俺は最初は顔を合わせるのも辛かったが、時間を経て、ショウコとは次第にいい友達に戻っていた。
はずだった。

2人も、そんな俺を見ていたから、もう吹っ切れたものだと思って、ここへ連れてきたのだろう。
ショウコも新しい恋人を作らない俺を心配して、マリコに電話でもしていたかも知れない。


だが、チエを連れてきた俺は、忘れていた感情を不意に何故か思い出した。
友達に戻っていたはずのショウコ。
キレイに見えた。


チエだけが、俺たちのことを知らないでいた。