「アイツが褒めちぎるなんて、江戸川乱歩が普通の人だったってくらいあり得ないって!」


俺はそう言った。
チエが今日発表で扱った作品も江戸川乱歩で、その作者の異常性を訴えていたことにうまく絡めたつもりだった。


「まあ、もう慣れたけど、俺たちも最初はアレきつかったよな!」
「そうそう!私もあのダメ出しは最初泣きそうになったし!」

アキヒロとマリコは、同じ体験の共有から慰めた。

あとは、とりあえず駐車違反くらったつもりで、あまり気にせず歌って忘れようという流れになった。


一通り、鬱モードから抜け出したチエは、

「シュウヘイはもちろん、シスチル歌ってくれるんでしょ?」

と言った。

「イヤ、俺声低いから、あんな高いのは出ないよ。」

「えー、顔はソックリなのに?」

「いや、俺は…」

「犯罪者ですから!残念!」

アキヒロとマリコは見事にハモりながら、笑い出した。


いつからか、チエがふると、2人がこう言い出す流れができていた。