「…気のせいか。」
「何が?」
「せっけんの香りしなかったか?」
「は?せっけん?別にしなかったかけど…何で?」
「いや、何となく。」
「何じゃそりゃ。」


やっぱり、俺の気のせいか。
塚越もいたし、他にも人はいたし、誰からせっけんの香りがしたっておかしくない。


「……気のせい、か。」


そう思いながらも、しばらくせっけんの香りが消えなかった。