両手を頭の後ろに回して、ベッドに寝転がりながら言う慶。




「…わかったよ」


私は冷蔵庫から材料を出して、カレーを作り始める。



こんなんで週刊誌のこと許してくれるんなら、安いもんだよね。


そんなことを考えながら、野菜を包丁で切る私。

病室内に、包丁がまな板にあたるトントンという音がひびく。




「沙知絵さんと浩司さんは元気?」

「ああ」

「毎日、お見舞い来てるの?」

「浩司は仕事あるから毎日は来ない。沙知絵は毎日来るよ」

「そう…」


毎日来てるのか。

そりゃあそうだよね…心配だもんね。






「最近忙しいんだって?」




寝ころがり、天井を見つめながら言う慶。




「うん…ちょっとね」

「健二から聞いた…」

「そうなんだ。健二と紅とは、ツアーの打ち合わせとかで 会うけど…次の仕事が入ってたりして、最近ふたりともゆっくり話してないな」

「健二から、俺んとこに毎日連絡くるよ。週に1回は見舞いにくるし…」

「そっか」


私がなかなか来れないから、健二と紅が行ってくれてるんだよね…