「…最後の10分??」


ティッシュで目尻を抑え友里絵は続けた。

「うん。隆がさ、ちょっと変だなっていうのは薄々感じてた。でね、すごい真剣な表情で話があるんだって。…別れようって言われちゃったんだ」


びっくりした。あれほど友里絵を好きだった隆が自分から別れを切り出すとは。

多分私の表情は驚きでいっぱいだろう。


「えへへ、驚いた?私も驚いちゃった。…好きな人ができたんだって。大切で泣かせなくないって、俺がなんとかしなくちゃって思ったんだってさ」


思い出すかのように友里絵は言った。でも、少し笑っていた。

信じられない、この間会ったときはそんなこと一言もなかったのに。