その背中が、ゆっくりとこっちを向く。



「なに?」



あの日を境に、るなは冷たくなった。

私だけに。



「あっ――……」



思わず、その視線の冷たさに声をあげてしまった。


その冷酷な瞳に、前までのるなの面影はない。



「あのね、るな――」

「いつものなら聞きたくない。聞かない」



言葉を口に出す前に、るなは、見えない透明な手で静かに制した。



その声が、私の心に氷の針となって突き刺さった。