隣を歩いていた足音が止まり、私も立ち止まる。


振り向くと、るながじっと床のタイルの木目を見つめていた。



「私、合唱やめる。吹奏楽に専念する」



いつも何を考えているのかよくわからないるなが、強く言った。


下を向いて、うつむきながらでも、その意志は強かった。



「でも……るな。もうちょっとがんばってみようよ。夏のコンクールだってこれからだし」

「智那は、まだ続けるつもりなの?」



るなが顔をあげた。


その強い視線が、私の目とぶつかった。