「合唱の楽しさ、いまだによくわかんないんだよね」
やっぱり。
悪い予感だけは、昔からよく当たる。
「今まで智那に誘われてやってたけどさ。私、休日の練習とかほとんど行ってないし」
るなは何食わぬ顔で私の目を見て言った。
数秒だけなら目を合わせていられたけど、耐えきれなくなって私から目をそらした。
確かに一年のとき、るなを合唱団に誘ったのは、私だった。
最初は私も好奇心半分で入団した。
でも日が経つにつれて、確実に合唱に惹かれていった。
それは、るなも同じだと思っていたのに――――
言葉にできない衝撃が、全身を襲う。