「いきなり呼び出してごめんね」



音楽室を出てすぐのところに、階段がある。

その階段の踊場へ、西脇先生は私とるなを連れて行った。



さっきのピリピリとしていた空気とは一変して、西脇先生の表情は柔らかくなっていた。



「どぉしたんですか?」



るなはどちらかというと崎田先生より西脇先生になついていて、唯一の力まずに話すことができる先生らしい。



「そのことなんだけど……」



るなの言葉を聞き、西脇先生は少し苦しげな表情になった。



でもそれは一瞬で、すぐにいつもの柔らかい笑顔に戻った。