「またあの2人争ってるよ」と、どこかから聞こえた。


もちろん、それは先生たちには聞こえないような小さな声だったけど。



「吹奏楽部の人、話したいことがあるので廊下にでてきてくれる?」



西脇先生が部員の中を、針を縫うようにして視線を移動させていく。


最前列にいた私とはすぐに目が合い、その目から「はやく」と急かされた。

それからすぐに、西脇先生は音楽室から姿を消した。


私とるなが首をひねりながら列からはみ出て歩き出す。



それを見て、崎田先生は私にもギリギリ聞こえるかのような小さなため息をついた。