私たちの緊張が、音を立てて壊れた気がした。 崎田先生の手が中断された。 私たちと向き合っていた新メンバーは全員がドアを振り返り、私たちもそれにつられてそっちを見た。 そこに立っていたのは、ネイビーのブラウスにベージュのロングスカートというふわふわした格好の女性。 西脇春子(にしわきはるこ)先生。 私たちの学年の副担任。 そして、私たち吹奏楽部の顧問だった。