毎年伴奏担当の先生が、ピアノいすに座り、崎田先生とアイコンタクトを合わす。 隣に立つ朱莉が、深く深呼吸をしたのがわかった。 いつもの練習には存在しない、異様な緊迫感。 実は、それがあんまり嫌いじゃなかったりする。 崎田先生が手を振り上げた。 伴奏が構える。 崎田先生の手が、宙を切った―――― ――ところで、音楽室のドアがノックされた。