「奏太ーっ!」 合唱団の練習終了後、奏太の名前をとびっきり大きな声で叫んだ。 それにビックリしたのかビックリしていないのか微妙な反応で、奏太は私のほうを見た。 奏太に何か伝えたい――。 その何かは私にもわからない。 でも、確かに何かを伝えたいのは確かだった。 「何?」 透き通るような声。 確かに、奏太の声だった。