「じゃ、もう1回最初から。強調忘れずに」
崎田先生に小さく「お願いします」とささやいた奏太は、先生に指導権を譲った。
先生は、私たちの顔を一人一人見つめながら、ニッコリ笑って手を構えた。
再び、私達の『ヒカリ』が流れ出す。
奏太の指摘で、さっきよりも少しだけ上手くなっているのが分かった。
それは、バラバラだったパズルのピースがはまっていくみたいだった。
私達が1つになり、音が輪の中心に集まってくる。
やっぱり、奏太のアドバイスの効果は、あの頃と変わっていない。
あの頃も、今も、最初とは比べ物にならないくらい、音楽が美しくなるんだ――。