智那side.



今年の夏は、『ヒカリ』で戦う。


そう崎田先生から聞いたのは、春休みの事だった。


今日は、その『ヒカリ』を音の響かないところで歌う練習。



崎田先生を中心に、輪になって歌っていた。


歌い終わって、やっぱり、中と外で歌うのは全然違うと思った。


自分の音ばかりが聞こえる。

不安、怖い。


コンクールの舞台は、ここと同じ。


舞台には、魔物が潜んでいる――。




パンッ



いきなり、後ろの方で音が鳴った。


崎田先生は、何事かとその音をするほうを見た。

私達もつられてそっちを見た。