「眠り給う――いと安し――」 智那は、俺が目覚めたときと同じように、再び歌い出した。 優しく、子守唄のように。 これは―――― 「きよしこの夜。私が風邪ひいたとき、お母さんがいつも歌ってくれたの」 ピアノいすを元の位置に戻し、俺のすぐ近くまで智那がやってきた。 きよしこの夜 今の季節と合っていないこと以外、なんの不思議でもない。 でも、何かが俺の頭の中で光った。