奏太side.



頭がボーッとしていた。


薄いもやがかかったみたいに、自分の意識がよくわからない。


えっと……

ここは――――



「――救いの御子は――まぶねの中に――」



そのとき、目が覚めた。

どこからか、歌声が聞こえた。


目の前に広がるのは、真っ白な天井。

見覚えがあるのは、ここが見慣れた自分の家だからだ。


顔の角度をずらしてみると、黒く光るグランドピアノが蓋を開けて置いてあり、どうやら俺はピアノ室のソファに寝ていたようだった。