「奏太ぁ。なんか飲み物もらっていいっすか?」

「やだ。買いにいけ」

「こんな中いったら熱中症になって倒れるわ」



「真夏じゃあるまいし」怜の隣で朱莉が冷たい声を出す。



「奏太ぁ。私ものどかわいたー」

「智那まで……」

「じゃぁついでにあたしもー」



朱莉が自慢の白い歯をのぞかせて笑うと、奏太はあきらめたようにドアのほうへ歩きだした。



「怜は自動販売機なー」

「はぁ!?」



怜が奏太を睨もうとしたけど、もうすでに奏太はドアの向こうに消えていた。



静かな沈黙が、部屋の中に充満した。